ゾウギンザメの卵!
- 2019.06.09
- 魚類チームの日記
先日、海遊館日記で紹介したゾウギンザメの記事を覚えておられますか?
「ゾウギンザメ(大事なことなので、もう1回紹介させてくださいっ)」
その記事でゾウギンザメの卵について紹介させていただきましたが、今回は卵のその後を報告します!
まず、こちらはイヌザメの卵です。後ろからライトで照らしたところです。
これは産卵後約1週間の卵で、真ん中にある大きな丸いものは「卵黄」、卵黄の上にある米粒みたいなのが「胚」です。
卵が受精しているのかどうかは胚の有無で分かります。受精していなければ胚はありません。
胚は卵黄から栄養を受け取り卵殻の中で成長します。イヌザメだと大体130日で孵化します。活発に胚が動いているのが分かりますね。
(▼イヌザメ受精卵)
そしてこちらがゾウギンザメの卵
ゾウギンザメの卵は殻が分厚いのか、ライトで照らしても卵黄を確認することが出来ません。なので、受精卵かどうかは目視で判断できませんでした。
そこで、4月25日に産卵した卵を超音波診断装置で中身を確認することにしました。
すると、なんと大きさ0.5cmほどの胚を確認することができたのです!つまり受精卵ということ!
ちゃんと胚が動いているのも確認しました。
活発に動いていますね。現在までに3個の卵について、胚を確認することができました。
ギンザメの仲間の雌は体内に精子を貯める(貯精)と報告されています。
そのため、雄と交尾して数ヶ月、あるいは数年経っていても、貯めている精子で受精させて繁殖することができるのです。
現在、海遊館で飼育しているゾウギンザメ2尾はどちらも雌ですから、搬入前の交尾で貯精していて、今回受精卵を産んだと思われます。
ただ、ギンザメたちの親戚にあたるサメやエイの中には、交尾をしていなくても受精卵や子どもを産む「単為生殖」をする種も確認されています。
もしかしたらゾウギンザメもその能力があるかもしれません。今後DNA解析を用いて親子判定もできればと考えています。
さて、イヌザメの受精卵の孵化までの日数は約130日でしたが、ゾウギンザメは水温10℃だと約400日(まさかの1年以上!)、15℃で約180日、20℃で約135日という記録があります。
現在卵を保管している水槽の水温は12℃なので、大体300日ほどでしょうか。先が遠いです。。。
とにかく!
超音波診断装置を用いて今後もできる限り詳細に胚の成長記録を取り、国内初繁殖を目指します!
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