大阪湾で出会った生き物たち「ヘイケガニ」
- 2016.05.03
- 大阪湾で出会った生き物たち
先日の4月16日にスナメリ調査を行いました。調査終了後、参加者の皆さんと大阪湾で獲れた底曳網の漁獲物を調べました。
約30種類の生き物を確認することができましたが、その中で参加者の注目を集めたヘイケガニを紹介します。
ヘイケガニは、甲の隆起が怒った人の顔に見えることで有名ですが、それ以外にも歩脚の付き方とその使い方に特徴があります。
イシガニと比べてみると、ヘイケガニでは3番目と4番目の歩脚が背側を向いていることがわかります。
そして、イシガニでは4番目の歩脚が船のオールのように水をかくために使う扁平な遊泳脚に変化していますが、ヘイケガニでは3番目と4番目の歩脚が短く、その先の節が鉤爪状になっています。
▼第3歩脚先端部の拡大写真
ヘイケガニは左右2対の鉤爪を使って二枚貝の片方の殻やヒトデなどの生物、木片などを背負って甲の上に固定し、身を隠すのです。
背側を向いた歩脚(もはや歩くための脚ではありませんが)の理由はここにあるのです。
ヘイケガニは内湾の砂泥底にすんでいますが、沿岸開発など人間活動の影響で数が減少している可能性があり、水産庁の「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」では希少種に、都道府県のレッドデータブックでは、地域によって絶滅が危惧される種として取り上げられています。
大阪湾では底曳網によくかかりますが、食用として市場に出ることはなく、生息数についての実態はよく分かっていません。