ワモログ「白内障の手術」
今日は、ワモンアザラシ「ユキ」の白内障手術のお話です。
ワモンアザラシというと小さな頭に丸っこい体型、まん丸クリクリな目が特徴。
海遊館ブログ「ワモログ」でも大人気のアザラシです。
白内障は水族館でも比較的発生が多く、特に高齢のアザラシやアシカ、ペンギンでよくみられる疾患です。
ユキは去年の11月頃から右目の水晶体(レンズ)の白濁がみられ、今年の4月には左目の水晶体も白濁し、ほとんど目が見えない状態でした。
ユキはまだ若く、繁殖にも期待がかかるアザラシです。
白内障の影響で強い痛みがあり、ずっと目を閉じている時期もありました。
なんとかユキの白内障を治療できないかと、眼科専門の獣医師である山下真先生(ファーブル動物病院 大阪府門真市)に相談し、ユキの目をずっと診ていただいていました。
▲眼科専門の山下獣医師(ファーブル動物病院:大阪府門真市)とワモンアザラシ
その後、点眼薬(目薬)で痛みや炎症、白内障の進行をコントロールしていましたが、点眼で白内障が治ることはありません。
治す方法は外科手術しかありません。
日本ではアザラシの白内障手術の例がなく、初めての試みとなりますが、ユキの今後のことを考えて手術に踏み切ることにしました。
手術の前には、術前検査(超音波検査)、麻酔方法の確認を行い万全の体制を整えました。
▲麻酔下で目の検査をしているところ
手術は麻酔管理を海遊館スタッフが、執刀は山下先生をはじめとするファーブル動物病院眼科スタッフの方にお願いし、総勢10名以上で行いました。
▲手術用顕微鏡(メニワン社製)を用いて手術する様子
手術は無事成功。
白濁した水晶体を摘出することができました。
手術翌日にはエサをしっかり食べ、痛みが軽減したのか目もしっかり開いています。
今のところ術後経過は順調です!
▲点眼をしているところ
しばらくは水に入ることができないのでバックヤードで療養しますが、
完治したら展示水槽に戻る予定です。
以前のような可愛いらしいユキの表情が見られるように術後経過をしっかりみていきたいと思います。
どうぞ温かく見守ってください!
今回はファーブル動物病院さん、手術用顕微鏡をお貸し頂いたメニワン株式会社さん、麻酔器とベンチレーターをお貸し頂いたアコマ医科工業株式会社さん、たくさんの協力があって無事ユキの手術を行うことができました。
この場を借りてお礼申し上げます。
これからも生き物たちの健康を守るため、スタッフ一同頑張っていきます!