昨年度(2013年度)、ジンベエザメにデータロガーを取り付けて、放流後、どこを、どれくらいの深さを泳いでいたか、海遊館日記(2014年3月1日)で報告いたしました。(→ 「データ、取ったどぉ~!!ジンベエザメの調査研究編」)
今年度(2014年度)も海遊館で飼育していたジンベエザメにデータロガーを取り付けて放流しました。
そのジンベエザメの名前は、"以布利No.2"。
高知県の研究所(大阪海遊館海洋生物研究所以布利センター)で、2008年から飼育研究していたジンベエザメです。
海遊館では一定の大きさに成長したジンベエザメをもといた海に戻しています。
"以布利No.2"も、大きさが6.5mとかなり大きくなったので、そろそろ海に戻っていただこうというわけです。
日本近海でのジンベエザメの回遊経路は、まだ未解明です。
なので、海に戻っていただくついでに、どこら辺を泳いでいるのか、教えてもらおう作戦です。
昨年度と同様にポップアップタグ(データロガー)を取り付けて、6月18日に高知県土佐清水市から旅立ちました。
"以布利No.2"の背鰭にタグが付いているのが、分かると思います。
前回は1ヵ月間だけ追跡を行いましたが、今回は3ヵ月間追跡を試みました。
そして待つこと3ヵ月、今回も無事にデータが取れました。
早々解析した結果、黒潮に乗って東北沖まで北上、秋口に入ってから南下する傾向が見られました。
おそらく黒潮と親潮の潮目である東北沖は、餌となるプランクトンも豊富なので、東北沖まで回遊したと考えられます。
さらに、水深データを見てビックリ。
昨年度のジンベエザメは600mまで潜っていたのですが、"以布利No.2"はなんと1,560mまで潜水していたことが分かりました。
そんな、深くて真っ暗で極寒の世界まで、"以布利No.2"は、何をしに行ってたのでしょう?
これは今後の研究課題です。
テクノロジーがさらに進んで、新しいタイプのデータロガーが開発されれば、このロガーを使って、ジンベエザメの深海での行動を解明したいと思っています。
そして来年度ですが、今回の倍の6ヵ月間、追跡調査を行う予定です。
それによって、秋以降に海水温が低くなってきてから、西に向かうのか?南に向かうのか?はたまたハワイを目指して東に向かうのか?その辺が解明されると思います。
ところで、今頃 "以布利No.2" は、どこを悠々と泳いでるんでしょうね?