食べちゃった!
- 2014.05.15
- 海獣担当
ある日の朝...
「すみません...。食べちゃいました...。」
朝一の給餌を終えたイルカ担当から、獣医に報告がありました。
「えーっ!!何食べたん?」
「5cmくらいの発泡スチロール...」
もちろん食べたのはイルカ担当の飼育係員ではありません。
イルカがプールの壁を覆っている発泡をちぎって食べてしまったのです。
イルカがエサ以外のものを食べてしまったら一大事です。
自分で吐き出すこともありますが、ずっと胃の中に留まってしまったり、腸まで流れて詰まってしまうかもしれません。
「どうしましょう?吐き出すまでしばらく待ちますか??」
「んー、そのイルカが吐いても、他のイルカが食べちゃうかもしれないし、また同じイルカが食べちゃうかもしれないし...。だからって吐くまでずっと見てるわけにいかんし。早めに取り出しちゃったほうがいいかもね。」
ということで、食べてしまった発泡を取り出すことになりました。
ここで登場するのが、内視鏡スコープ。いわゆる胃カメラですね!
検査以外でも異物を取り出すときにも使います(水族館ではこっちの使い方のほうが多いかも)。
こちら今回発泡を食べてしまったカマイルカのアクア。
これから何をされるのかもわからず余裕の表情です。
せっかく取り上げたので、尾びれから採血。
プールから野次馬のようにのぞいているのは、アクアと一緒に暮らしているミュー。
「へぇ、採血ってそうやってするんだね」とでも言っているかのようですね。
「はい、お口開けてくださーい」
簡単にやっているように見えますが、実は...
これだけの飼育係員がイルカをおさえていないと、暴れてスコープが入れられないのです。
(真ん中にちょっと写っているのがアクア)
さてさて...
胃の中に発泡はあるかな...
獣医2人でスコープと鉗子(異物を取り出すための器具)を試行錯誤動かして...
何とか取り出すことができました!!
「あーよかったぁー!!!!!」、一同歓喜の声。
今回食べちゃったのはこれでした↓
(胃液で色が茶色になってます)
お願いだから、もうエサ以外は食べないでね(泣)。