今回はとても悲しいお話をします。
少し前のことになりますが、平成25年12月27日(金)PM1:58、ラッコの「エレン」が天寿を全うしました。
「エレン」は海遊館がオープン2年目の1993年の春にアラスカからやってきました。来た当初から、メスにしては体が大きく、とても立派なラッコだったそうです。
性格はおっとりマイペース。以前のラッコ担当だった先輩方に話をきいてみると、「エレン」はとっても食いしん坊で、他のラッコ達が激しく餌の選り好みをする中で、どんな餌でも食べてくれた、というお話をたくさん聞きました。
氷も大好きで、氷の上に寝そべったり、上手に氷をお腹の上で割って食べたりする姿もよく見せてくれていたと思います。
しかし、その反面、少し臆病なところもあったようです。以前、ラッコの水槽で大規模な工事をした時に、全てのラッコを一時的にバックヤードへ移さなければいけませんでした。
その時、他のラッコ達は、餌をご褒美に水槽の外に呼び出して捕まえることができたらしいのですが、「エレン」だけは頑なに水槽から出てこず、『あの時は困った!!』とのこと。
結局、水槽の水を抜いて捕まえるという大取り物になったのだそうです。
本当に飼育員からとても愛されたラッコでした。
そんな「エレン」は、推定年齢24歳でこの世を去りました。ラッコの24歳というのは、人間に換算すると、100歳を軽く超えるぐらいの年齢で、国内でも最高齢でした。
「エレン」は最後の最後まで生きようと頑張ってくれ、私たち飼育員も「エレン」の頑張りに応えるために努力をしましたが、高齢ということもあり、回復は非常に難しく、このような残念な結果となってしまいました。
「エレン」のことは、海遊館ホームページで公表し、いくつかのメディアで報道していただいたので、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
公表後、たくさんの方から、「エレン」へお花やメッセージを送りたいというお問い合わせをいただき、本当に皆様に愛されていたのだなぁと実感しました。
「エレン」のことをずっと応援していただき、本当にありがとうございました。
海遊館には、もう一頭、「パタ」というラッコがおります。「エレン」がいなくなってしまってから、「パタ」は少し寂しそうに見えます。みなさん、是非、「パタ」に会いに来てやってください。
今後は、「エレン」の死を無駄にすることなく、「パタ」が「エレン」以上に元気に長生きできるように、気持ちを引き締めて、一層努力を続けていきたいと思っております。
これからも応援よろしくお願い致します。